【400字】東京タワー【没テイク】

東京に住んでいた時、

東京タワーに興味はなかった。

でも離れてみて、それが東京どころか、

この国の象徴であることに気づかされた。

今はスカイツリーができたけれど、

都民にとっては

往年の野球小僧の憧れ・

王貞治さんくらいの存在なんだろう。


上京した頃、

狂ったように聴いたくるりの『東京』。

そのシングルジャケットにも、

それがそびえ立っていた。

くるりが好きだ。

特にこの曲が。

曲中の『きみ』にフラレた主人公の

気持ちとシンクロした。

なのに、もうあの子のことは忘れた。


人の気持ちなんて3年もすれば変わる。

だから本当のことを言うと、

くるりも本当はすでに好きじゃない。

ボーカルの岸田くんに憧れていたけれど、

以前ほど愛せない。

20年近く惰性でアルバムを買っている。

去年、Mステでくるりが

『東京』を歌った時、

妻に感想を訊かれ、こう答えた。


「昔の方が良かったな」


僕も変わったもんだ。

来月、スカイツリーへ行く。

わーい。

でも東京タワーには行かないよ。(了)






















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by nkgwkng | 2017-07-18 21:26 | 400字小説
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