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【イースタン×ザゼン小説】イキル、と、シヌ/27

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27
(ああ、この歌詞のせいだ)とシヌは納得する。
しゃくりあげるほど泣いたわけでもない。
ただ涙が蛇口を捻った水道水のように流れ出た。
死んではダメだと思わされた。
「生の実感だけは持っとこう
頭どんだけ狂っても」
繰り返し、繰り返し歌っている。
そのフレーズを聴いて
数十分前に死ぬ真似事した自分を恥じた。
そして怒りを感じ、悲しくもなった。
途方に暮れた後、
無性に寂しくなり床にペタリと座り込んだまま
スマホを手にする。
アドレス帳を開き、母親の電話番号を呼び出した。(続く)
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by nkgwkng | 2014-04-30 00:00 | eastern×ZAZEN @J

【イースタン×ザゼン小説】イキル、と、シヌ/26

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26
身体が重い。
フローリングに寝転んでいたせいで
関節が凝り固まっていた。
胸から首元にかけてじわりと汗をかいている。
シヌは唸りながら身体を起こす。
ようやく起き上がると胡坐をかいて
髪の毛をくしゃくしゃと掻きむしった。
座ったままの姿勢で背伸びをする。
ついでに大きなあくび。
すると涙が頬を流れ落ちた。
あくびをしたせい。
そう思ったが何か様子が変だ。
涙は止まりそうになかったのである。
その時、ボーカルの向井秀徳は歌っていた。
「人がボンボン死ぬこの世
投げやりに死んじゃっちゃおしまいよ……」(続く)
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by nkgwkng | 2014-04-29 00:00 | eastern×ZAZEN @J

【イースタン×ザゼン小説】イキル、と、シヌ/25

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25
ジョン・コルトレーンのサックスは狂気染みていた。
シヌはマイルスよりコルトレーン派だった。
だからさきほどよりも
もっと熱心にその演奏に聴き入った。
だが何の前触れもなく別のアーティストの
聴き慣れたイントロのギターが
ジョン・コルトレーンの演奏に重なった。
ZAZEN BOYSの『CRAZY DAYS CRAZY FEELING』だった。
しばらくしてシヌは目覚める。
彼女は扉が開けっ放しの冷蔵庫の前に
黒い下着姿で倒れ込んでいた。
それまで見ていたのは夢だったのだ。
イヤホンからZAZEN BOYSが漏れ聴こえている。
腹のあたりの床にダルマが転がっていて
枕替わりになっていた右手の先で水をこぼして
グラスが倒れていた。(続く)
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by nkgwkng | 2014-04-28 02:58 | eastern×ZAZEN @J

【イースタン×ザゼン小説】イキル、と、シヌ/24

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24
思わずイヤホンを外し、
リモコンの消音ボタンを押して
ミュートを解除した。
天狗もマイルス・デイビスの演奏に痺れている。
「ちょっとその音、消せよ」と天狗がシヌに言った。
シヌはイヤホンから漏れ聴こえていた音楽を止める。
「なんで死んだマイルスが、」と
言いかけたところで天狗がそれを遮った。
「ここでマイルスのペットがむせび泣く!」
確かにマイルス・デイビスのトランペットは泣き濡れていた。
しばらくしてマイルス・デイビスの答弁は終わる。
次に答弁席に立ったのは
何十年も前に死んだジョン・コルトレーンだった。(続く)
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by nkgwkng | 2014-04-27 00:00 | eastern×ZAZEN @J

【イースタン×ザゼン小説】イキル、と、シヌ/23

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水は表面張力で盛り上がっている。
光を吸い込み、きらきらと発光した。
ゆっくりと床を這うその姿をずっと見つめていたかった。
だが不意に天狗がベッドの上に飛び降りて来て
テレビに被り付いた。
あまりの食い付きようにシヌもテレビを観たくなり起き上がる。
テレビの前に行くと自分も画面を見られるように
天狗の肩を掴んで下がってとジェスチャーで示した。
シヌは天狗と並んでテレビを観る。
それは国会中継のニュースだった。
スーツ姿のマイルス・デイビスが
答弁席でトランペットを吹いていた。
画面のテロップには
<農林水産大臣 マイルス・デイビス>とある。(続く)
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by nkgwkng | 2014-04-26 00:00 | eastern×ZAZEN @J

【イースタン×ザゼン小説】イキル、と、シヌ/22

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22
シヌは天狗に言われたことが真っ当だったので
怒りを覚えて手にしていたダルマを投げつけた。
それは天狗の鼻に当たり、ベッドの上に落ちた。
天狗は黙って仰向けに寝転ぶシヌを凝視し、
にたーりと笑いながら、
葉巻を吸い煙を吐き出す、
を繰り返した。
(とうとう私は狂ってしまったのかもしれない)と
シヌは全身をバタつかせて悶えた。
床に置いたグラスに、右腕が触れる。
倒れたグラスから水がこぼれ、床に広がった。
シヌは水が床を濡らしていく様をぼんやりと眺めた。(続く)
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by nkgwkng | 2014-04-25 00:00 | eastern×ZAZEN @J

【イースタン×ザゼン小説】イキル、と、シヌ/21

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21
視線を天狗に移すと彼は太い葉巻を吸っていた。
紫色の煙を吐き出している。
シヌはそれが酔っ払っているせいなのか
薬を過剰摂取したせいなのか、わからなかった。
「きみの生き方にはユーモアというものがない。
だから、そんなに苦しい思いをするんだよ」
天狗の声にはディレイがかかっていた。
残響音。
言われたことは確かだった。
シヌは冗談を言うタイプの女性ではなかったし、
遊びもほどほどの人間だ。
友人のチエは「遊び足りなーい」とよくシヌに言っていた。
そんな彼女を羨ましいとシヌは思っている。(続く)
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by nkgwkng | 2014-04-24 00:00 | eastern×ZAZEN @J

【イースタン×ザゼン小説】イキル、と、シヌ/20

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20
ダルマと話している間もイヤホンから
ZAZEN BOYSの変則的なリズムや
強靭なビートが鳴り続けていた。
点けっぱなしの消音にしたテレビは
スポーツニュースを報じている。
背中のフローリングが冷たくて気持ちがいい。
シヌは天井に向かって突き上げたダルマに自問自答している。
大音量で音楽を聴いているせいで
独り言がつぶやきレベルの音量ではない。
その行為を傍から見たら、明らかに狂って見えただろうが
それを見る者は当然いなかった。
だが、シヌは人の気配を感じていた。
ベッドの上の天井の隅に
小柄な天狗がいるのを……。(続く)
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by nkgwkng | 2014-04-23 00:00 | eastern×ZAZEN @J

【イースタン×ザゼン小説】イキル、と、シヌ/19

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19
シヌ 「死にたいと思うのは病気のせい?」
ダルマ「そうだろうな」
シヌ 「私、狂っているのかな」
ダルマ「貴様は頭がおかしい」
シヌ 「やっぱり。はっきり言ってくれた方が楽になれるよ」
ダルマ「それは卑怯な生き方だ」
シヌ 「なぜ?」
ダルマ「誰しも生きることは苦しいと受け入れている」
シヌ 「だから、なんだっていうのよ」
ダルマ「貴様だけ楽になりたいとは都合が良すぎる」
シヌ 「人生から逃げて何が悪いの?」
ダルマ「生きる覚悟をしろ」(続く)
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by nkgwkng | 2014-04-22 07:15 | eastern×ZAZEN @J

【イースタン×ザゼン小説】イキル、と、シヌ/18

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18
シヌは右手の人差し指で氷を掻き回した。
濡れた指を潤んだ唇で舐める。
冷えた水を飲み下す。
水が喉や食道を通って落ちていく感じや、
胃の中で水が広がるのを感じながら飲む。
かき氷を急いで喰らった時のような頭の痛みをうっすらと覚える。
CDラックのダルマに手を伸ばしてそれを掴む。
「それが生の実感というものだよ」とダルマが言った。
「生の実感? ああ、そうか」とシヌは独り言のように答える。
冷凍庫の扉が開けっ放しになっている。
黒い下着姿で冷蔵庫の前に仰向けになって寝転んだ。
ダルマを掴んだ左手を、天井の照明にかざした。(続く)
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