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【400字小説】どきゅん

「付き合ってほしい」とは言われていない。
だけれど、クリスマスにふたりっきりってことは、
つまりそういうことなんだろうと
紗和は思った。
てゆうか、思うようにしている。
高級なレストランじゃなくて、
いつものフツーのファミレスでの食事だから
不安になったけれど。
大切にされていないんじゃないかと。

「25日ってもうクリスマスってカンジしないよね?」

健一郎がそう言って
デミグラスソースをハンバーグにつけたあと、
それを口に入れる。
「クリスマスってイブの方が盛り上がるよね?」と健一郎が続けて話す。

「正月休みとかもさ、休みの前の夕方くらいが一番楽しい。
休み入っちゃうとあっという間」

もしかして昨日は違う女の子と一緒だったんだろうか。
そう思って不安になったとき、急に声を掛けられた。

「あれ? さわじゃん!
何してるの、こんなところで?」

友人の美代だった。
美代は健一郎を見る。
紹介しようと思ったけれど
「友達の」というべきか
「彼氏の」と言うべきか迷った。
すると健一郎が言った。

「さわとお付き合いさせてもらってる渡部です」■
by nkgwkng | 2010-12-25 20:51 | 400字小説
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