【掌編小説】未夏ではない君へ

窓際で一輪挿しのガーベラが
静かに歌っているよ。
それはオレンジ色。

未夏のことを思い出すのは久しぶり。
君はどうしているかな。
もう結婚したのだろうな。
僕はそれを心から祝福できない。
まだ君のことが好きみたいだから。

たまにあの日、未夏を抱いたら
僕たちは一緒に暮らしていたかと思うことがあるよ。
君はそう思わない?
好きだったのは僕だけ?

もう君に会いに行けない。
僕はずいぶん年を取ったし、
これまたずいぶんと太ってしまった。
君もずいぶんと変わっただろう。

キレイニナッタ?

それならホントに会いに行けないよ。
僕なんてただのおっさんになってしまったからね。

夏が終わろうとしています。
今年も海に行かなかった。
そうだ、君と海へ行ったこともあったね。
何もしゃべらずにただ波を見ていた。
つまらない男だと思った?
それは間違いないさ、
僕はただのデクノボー。

僕には子どもがいます。
4歳になるかわいい女の子です。
奥さんのことを愛しています。
未夏のことはやっぱり忘れてしまった。
だけどたまに思い出してもいいかな。
こっそりと思い出すからさ。

今年で37になるよ。
君は36だね。
君は僕のことなんか思い出さないだろう。
今の生活に満足して幸せに暮らしているに違いない。
そうあってほしいし、そうあるべきだ。

これは君のための小説で
だけど君が見ることは絶対にないから
誰のための小説でもない。

こんなクダラナイことばかり書いてすみません。
ブログってさ、何書いたらいいのかわかんないよね。
全部独りよがりになるような気がしているんだ。
って誰かに向かって呟く。
その誰かって君のこと。
未夏ではない、君のことです。

どうか僕を見捨てないでください。
君のそばでそっと花を咲かさせてください。
たまには心を和やかにすることができると思うから。

また来てね。
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by nkgwkng | 2012-08-09 17:12 | 掌編小説
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