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【400字小説】 貴様 【没テイク】

私は中川よしの。
自分で淹れた珈琲を飲みながら、
珈琲についての短い文を書こうとしている。
とはいえ、誰がこんなくだらない
掌編小説を読むのであろう。
いたとしても、それはおそらく
ボランティアの人に違いない。
そうだとしたら、貴様は偽善者……。

おっと、折角、このクソ面白くもない文章に、
時間を割いてくださる方に、
そんなことを言ってはいけない。
どうか許して。
私は精神が不安定なのだ。
いつだって決壊寸前、いっぱいいっぱい。
だから私が書く長編小説は
生と死がテーマである。
ぜひ私の長編小説を読んでいただきたい。
きっと貴様を絶望の淵に
突き落とすことは間違いなしだ。
私はバッドエンドが好きだからなんだ。
てか、まあ、そんな小説、
読みたくもないよな。
私だって書きたくない。
ハッピーエンドの物語が書きたい、
でも書けない。
そんな苦い思ひを、珈琲を飲む幸せで打ち消す。
私は珈琲が大好きだ。

いや、嘘。

好きでも嫌いでもない。
でもね、貴様は好きだ。
だって今これを読んでくれているから。
御礼に今度、私の淹れた珈琲を飲ませてやるよ。
by nkgwkng | 2016-01-31 15:25 | 400字小説
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